昨年1年間に全国の警察へ寄せられたストーカー事案の相談件数は2万2737件(前年比3・5%増)となり、4年連続で2万件を超えたことが6日、警察庁のまとめで分かった。2014年(2万2823件)に次いで2番目に多い。ストーカー規制法に基づく警告は3562件(5・5%増)に上り、00年の施行以降で最多だった。

 ストーカー規制法による摘発も前年より92件増の769件で過去最多。同法以外の、刑法の殺人未遂や傷害などでの摘発は1919件で、前年より47件の増加だった。

 松本純国家公安委員長は6日の記者会見で「国民の安全で安心な生活を脅かす重大な事案であり、警察としてもしっかりと対処すべき課題と認識している。関係機関と連携し、被害者の安全確保や加害者に関する取り組みを推進しているところだ」と述べた。

 相談内容の分析では、被害者の88・8%が女性だった。年代別では20代が36・0%、30代が25・5%となり、両者で半数を超えた。加害者は30代の22・2%が最も多く、40代の21・0%、20代の18・6%が続いた。

 被害者と加害者の関係は、交際相手や元交際相手が46・9%、知人や友人が13・2%、勤務先の同僚や職場関係が11・8%。一方で、面識なしが7・0%あり、関係不明が6・3%など対策の難しい事案もあった。

 動機は好意によるものが1万5738件で、好意が満たされない怨恨(えんこん)の感情が4506件。具体的なストーカー行為では、付きまといや待ち伏せが1万1643件で最も多かった。ほかに交際の要求が1万946件、連続した電話やメールが6321件と続いた。

 ストーカー被害を巡っては昨年5月、東京都小金井市で音楽活動をしていた女子学生が、ファンの男に刃物で刺され一時重体となる事件も発生した。

 今年1月には改正ストーカー規制法が施行され、会員制交流サイト(SNS)で執拗(しつよう)にメッセージを送るほか、自宅周辺をうろつくなどの行為も規制対象となった。2月末までに、新たに規制対象となった事案の摘発はSNSでの行為が10件、自宅周辺などのうろつきが7件だった。

■DVも相談、摘発最多 防止法施行後

 昨年1年間に警察に寄せられたドメスティックバイオレンス(DV)の相談件数は6万9908件(前年比10・7%増)だったことが6日、警察庁のまとめで分かった。DV防止法が施行された2001年以降最多で、13年連続の増加。

 警察庁の担当者は「DVは泣き寝入りが多かったが、被害者の意識が変わった」としている。

 刑法・特別法による摘発も8291件(4・8%増)で最多。罪名別では暴行4409件、傷害2991件など。殺人も既遂が2件、未遂が100件あった。

 DV防止法に基づき裁判所が接近禁止などの保護命令を出したのは2143件。うち警察が保護命令違反で摘発したのは104件で、ここ数年横ばい状態が続いている。

 被害認知後のDV防止法による被害者への助言など「警察の援助」は2万1271件(1・7%減)だった。

 被害者は85・0%が女性だが、男性も初めて1万人を超え、1万496人に上った。年齢別では30代が最多の2万524人、次いで40代の1万7350人、20代の1万5969人だった。

 加害者は85・0%が男性で、30代と40代で半数以上を占めた。

 被害者と加害者の関係は「婚姻」が69・2%と最も多く、次いで「同棲(どうせい)」の13・3%だった。

■佐賀県内は216件 DVは249件

 佐賀県警人身安全・少年課によると、昨年1年間に把握した県内のストーカー行為は前年より15件増えて216件に上り、2000年以降で最多になった。DV(配偶者らへの暴力)は35件減の249件だった。

 ストーカー行為の内訳は「面会の要求」が90件で最も多く、「付きまとい・待ち伏せ」が70件、「無言電話」が50件で続いた。ストーカー規制法に基づく警告や禁止命令は前年より8件増えて49件、暴行や脅迫などによる摘発は前年と同数の45件だった。

 被害者の91・2%が女性で、年代は20代が40・7%で最も多かった。加害者は30代が24・5%を占め最多だった。被害者と加害者の関係は交際相手や元交際相手が50・5%、配偶者や元配偶者が14・4%だった。

 DVは、把握した件数は減少したものの、摘発は前年より6件多い69件で、暴行が36件、傷害が22件に上った。加害者と被害者の関係は約8割が婚姻関係だった。被害者への接近などを禁じる保護命令は19件あった。(円田浩二)

 ストーカー規制法 恋愛感情や、それが満たされなかったことへの恨みから、特定の相手にしつこく付きまとったり、嫌がらせをしたりする行為を規制する法律。待ち伏せや監視行為、度重なるメール送信、面会の要求などを繰り返すことをストーカー行為として規定している。被害者が申し出れば、警察が加害者に警告を出すことができる。従わない加害者には、都道府県公安委員会が禁止命令を出すことができる。埼玉県桶川市で1999年、女子大生が元交際相手のストーカー被害の末に刺殺された事件を機に制定され、2000年11月に施行された。

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