Jリーグは2017年以降、スポーツ映像をインターネット上で展開する英国のパフォーム・グループと10年約2100億円の大型契約を結んだ。若者を取り込む上で影響力が大きいネット配信を軸に、従来の放送との相乗効果やスポーツ産業の成長も視野に入れる。【共同】

■若年層が頭打ち

 有料放送市場でJリーグは、世界の主要リーグで初めてネット事業者と主契約を結んだ。村井満チェアマンは「新しい観戦スタイルを日本にもたらす」と話す。近年は若年層の新規ファンが頭打ちで、昨年の観戦者調査では22歳以下の来場者が全体の10・9%と、一昨年から1・2ポイント減少。放送の軸足をネットへ移し、スマートフォンやタブレット端末のツールに強い若者へ浸透を図る狙いだ。

 J1とJ2、J3の全試合をネットで生中継し、他競技を含め動画配信サービス「DAZN(ダ・ゾーン)」で定額見放題となる。パフォーム日本法人のラシュトン最高経営責任者は「ブランチを食べるほどの価格で」と安価の提供を約束し、村井チェアマンは今後の視聴形態の変容を「サッカーがお茶の間から街に出る」と表現した。時間、場所、回数の制限なく手元の機器で中継や映像を楽しむイメージだ。

〈TV中継も活性化〉

 今回の契約は有料放送限定で、従来の地上波、BS放送の権利を持つNHKやTBSとは契約更新の交渉を進める。

 収入増により、17年からは試合中継の制作費用をリーグが負担する。Jリーグの中西大介常務理事は「特にローカル局は制作のコストが下がり、J2やJ3の地元でも中継が増えるかも」と期待した。テレビ中継も活性化して、顧客を有料ネット放送に取り込む相乗効果をもくろむ。

■新たな観戦モデル

 政府はスポーツを成長産業と位置付け、5・5兆円規模の市場を2025年には約3倍に拡大する目標を掲げる。スタジアムやアリーナの環境改善は重点項目。リーグはNTTグループとも契約し、スタジアムのネット通信環境の飛躍的な拡充に着手する。パフォームの映像やデータを見ながら試合を楽しむ新たな観戦モデルを提供して来場者増加を狙う。NTTの鵜浦博夫社長は「日本経済再興には消費を促す新サービスが必要で、スポーツもその一つ。Jリーグを成功事例としたい」と、最先端技術を投入する構えだ。

 英国企業からの巨費と国内通信大手の支援を手にしたJリーグ。競技レベル向上や選手育成、大物獲得、ビッグクラブの創出といったリーグ全体の魅力を高める契機とできるかが問われる。

 =パフォーム・グループ= 英国に拠点を置き、スポーツを中心とした動画配信を手掛けるメディア企業。2007年設立。世界20カ国以上で動画配信事業を展開している。サッカーのイングランド・プレミアリーグや米プロバスケットボールNBAなどの放送権を持ち、配信している。13年の通期売上高は2億813万ポンド(約290億円)。

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