『新人公務員の育て方』『私たちのための行政』―図書館の「地方自治」コーナーに並ぶ書籍

 定例議会と並行して、県や市町で来年度の予算編成作業が進んでいる。財政事情は厳しく、知恵の絞りどころだ。併せて機構改革を検討している自治体もあろう。

 今春、佐賀県は県庁全体を俯瞰(ふかん)した行政運営を行うとして「本部制」を廃止して「部局制」に移行し、佐賀市は建築指導課に「空き家対策室」を新設するなど、さまざまな組織改編が行われた。

 トップの交代に伴い新機軸を打ち出す意向もあれば、分権や人口減など地方自治体を取り巻く環境が大きく変化する中で、行政ニーズにどう対応していくか、腐心していることの表れでもあろう。

 ただ、組織を支えるのは結局、人である。組織形態を変えても、職員が旧来の常識に縛られたままでは、機構改革の実は望めない。

 1990年代、「生活者起点の県政」を掲げた三重県の北川正恭知事ら「改革派」と呼ばれる知事や首長が登場した時、「自治体職員の意識改革」が行政運営の重要なキーワードとなった。

 最近はどうか。公共事業をめぐる事件や職員の不祥事のたび、再発防止策として意識改革が強調される。倫理面の意識徹底は当然のことである。要は、時代を見据えた地域戦略の立案や住民サービスの充実に向け、職員個々の意識がどう変わっているかだ。

 意識という内面の変化は外部から見えづらいが、市民生活に目配りした予算配分や住民との向き合い方に表れてくるはずだ。

 例えばインターネットの活用では、フェイスブックを利用した「官と民」の関係づくりや災害時の緊急連絡システムなど、県内でも市町によって濃淡が目立つ。住民生活と密着した行政施策で自治体間の格差が広がっていくことは看過できない。

 また公共施設の管理・運営を民間団体やNPO法人に委ねる指定管理者制度など、自治体業務のアウトソーシング(外部発注)が進む。その一方、内部では非正規職員が増加し、官製の格差拡大として社会問題になっている。

 自治体業務や雇用形態が多様化する今、非正規職員の処遇を改善するとともに、正規の職員はどのような役割を担うべきか。責任と自覚が求められている。

 年が明けると県内でも首長選、議員選が続く。不正入札事件で揺れ続けた唐津市をはじめ、選挙では「意識改革」が論じられるだろう。とはいえ、改革はトップひとりでできるものではない。自治体を現実に動かしているのは職員であり、職員が明確な意識を持っていなければ自治体は変わらない。

 「公(おおやけ)のために務める者」という公務員の原点に立って、首長、議員とともに地方自治を支え、「市民協働」のパートナーとなる自治体職員のあるべき姿を考えたい。(吉木正彦)

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