東京電力福島第1原発事故に伴う自主避難者への対応を巡る今村雅弘復興相=衆院比例九州、鹿島市出身=の発言が佐賀県内にも波紋を広げている。6日の国会審議で「『自己責任』という言葉はよくなかった」などと謝罪したものの、混乱を招いている状況に与党からも苦言が出され、野党は「大臣失格」と辞任を求めた。

 自民党県連の土井敏行幹事長は「自主避難者に自己責任という言葉を使った点などに問題があった」としつつ、衆院特別委で陳謝したことを挙げ「今後はしっかりと職責を果たしていただけるものと考えている」と見守る姿勢を示した。

 自民党と与党を組む公明党県本部の中本正一代表は「避難者の神経を逆なでするような話。(自主避難者に)どこまで対応できるかという問題はあるとしても、しっかりと話を聞く姿勢を見せてほしかった。被災者に寄り添って対応を」と注文した。

 民進党県連の江口善紀総務会長も「佐賀県関係の国会議員でもあり、混乱を招いたことは残念」とし、「被災地では戻りたくても戻れる状況ではないのが本質ではないか」と被災者に寄り添う姿勢を求めた。

 社民党県連の徳光清孝幹事長は「事故が起きなければ避難する必要はなかった。自主避難かどうかを区別すべきではない」と批判、「復興をつかさどる大臣として失格。責任を取るべき」と辞任を要求。共産党県委員会の武藤明美副委員長も「記者会見で感情をあらわにする様子も含めて県民は恥ずかしく思うはず。自己責任で済ませるのは避難者の苦しみを全く理解していない。すぐ辞めてほしい。首相の任命責任も問われる」と語気を強めた。

 労働組合などでつくる県平和運動センター(原口郁哉議長)は6日、復興庁などに抗議文を送り、「原発事故への東京電力や国の責任を棚上げにして自主避難者に配慮を欠く暴言」と復興相の辞任を迫った。

 佐賀県によると、県内には3月13日現在、東北と関東から57世帯143人が避難し、8割以上が国が指定した避難指示区域以外からの自主避難者になる。福島県から家族で自主避難している女性は「国に期待しない方がいいということをこの6年で学んできたので、発言は『やっぱりね』としか思わない。ただ、避難者の気持ちを分かっていなかったと思うと、寂しいですね」と話した。

(取材班)

【復興相記者会見やりとり要旨】

 4日の今村雅弘復興相の記者会見でのやりとりの要旨は次の通り。

 記者 (3月)31日に自主避難者の住宅無償提供が打ち切られた。自主避難者に対する国の責任をどう感じるか。

 今村氏 福島県が一番被災者に近いわけだから窓口をお願いし、国としてしっかりサポートしながらやっていく。

 記者 福島県外、県の近隣(の自治体)から、関東や関西方面など日本全国に避難している人もいる。

 今村氏 福島県が現地の事情も詳しい。それを国がサポートする図式はこのままでいきたい。

 記者 国が率先して責任を取る対応がなければ、福島県に押しつけるのは無理だ。路頭に迷う家族が出てくる。どのように責任を取るつもりか。

 今村氏 国がどうだこうだって言うより、基本的には本人が判断すること。帰還の環境づくりをしっかりやりましょうということで、福島県が中心になって寄り添ってやっていく方がいい。それをしっかり国としてサポートする。

 記者 帰れない人はどうするのか。

 今村氏 それは本人の責任でしょう。本人の判断でしょう。

 記者 自己責任だとお考えか。

 今村氏 基本はそうだと思う。

 記者 国は責任を取らない。

 今村氏 一応の線引きをして、ルールにのっとって今まで進んできたわけだから、経過は分かってもらわなきゃいけない。だから(不服なら)裁判でも何でもやればいいじゃない。また、やったじゃないですか。それなりに国の責任もありますねと言った。補償の金額もご存じの通りの状況。大災害が起きた後の対応として、国としてはできるだけのことはやったつもりだし、まだ足りないことがあれば、一番身近に寄り添う福島県を中心にして国が支援をするという仕組みでやっていく。

 記者 自主避難者にはお金は出ていない。

 今村氏 ここは論争の場ではない。

 記者 責任持って回答してください。

 今村氏 責任持ってやってるじゃないですか。なんて君は無礼なことを言うんだ。ここは公式な場なんだよ。

 記者 そうです。

 今村氏 なに無責任だって言うんだ。(発言を)撤回しなさい。

 記者 撤回しません。

 今村氏 しなさい。出ていきなさい。もう二度と来ないでください。人を中傷、誹謗(ひぼう)するようなことは許さない。

 記者 避難者を困らせているのはあなたです。

 今村氏 うるさい。

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