川内川上流に位置するクルソン峡。清流を求め、夏休みには県内外から多くの家族連れが訪れる=7月10日、宮崎県えびの市

 宮崎県えびの市北東部の大河平地区。その奥にある渓谷「クルソン峡」は、県境をまたいで鹿児島に流れ込む川内川の上流にあり、夏場は清らかな流れの中で釣りや水遊びを楽しめる。地元住民さえ「秘境」と呼ぶ、知る人ぞ知る場所だ。

 熊本県人吉市から宮崎県都城市へ向かう国道221号を通り、えびの市飯野から北へ。木々に囲まれたでこぼこの山道を進むと、渓谷が次第にその姿を現す。岩肌は所々が緑に覆われ、切り立った岩盤には、柱状の割れ目が走る柱状節理も見ることができる。

 同行したえびのガイドクラブ事務局長の上園信一さん(66)によると、その名前は、そばの羽山積神社にある洞穴で「狗留孫仏」という仏が誕生したという伝承に由来する。

 「昔から地元の子どもの遊び場だった」という渓谷に立つと、川のせせらぎや鳥のさえずりに包まれ、木々の間を吹き抜ける風が暑さを和らげてくれる。夏は川遊びを楽しむ家族連れやヤマメ釣りの愛好者らでにぎわい、秋には紅葉狩りの行楽客が足を運ぶ。

 渓谷を奥に向かうと、緑の濃さは増す。100メートル以上ある断崖の中で「メンヒル」と呼ばれる10メートル以上の巨石がそびえ、ひときわ存在感を放っている。

 「かつては修験者が修業に訪れる霊地でもあった」と上園さん。古くから多くの人々を魅了してきた自然の造形美を前に、ただ圧倒されるばかりだった。(宮崎日日新聞えびの支局・高橋良太)

 【メモ】九州自動車道えびのインターチェンジから車で約30分。渓流釣りを楽しむには、クルソン峡入り口にある立石林業などで川内川上流漁協の遊漁券(日券500円、年券3000円)を購入する必要がある。問い合わせは市観光協会、電話0984(35)3838。

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