総務省消防庁は、住宅用の火災警報器を飲食店や住宅など隣接する複数の建物で連動させる仕組みの普及を検討する。飲食店が不在でも隣の住民が気付けるようにして、地域ぐるみの速やかな初期消火を目指す。今夏にも木造建物が密集する地域20カ所程度を選んでモデル事業を始め、効果や課題を検証する。

 ラーメン店がこんろの火を消し忘れて出火、強風で木造住宅密集地に燃え広がった新潟県糸魚川市の大火(昨年12月)が契機となった。

 消防庁によると、火元の店主は出火当時、不在で、店舗面積が基準以下のため自動火災報知設備もなかった。隣の住民は家にいたものの出火に気付かず、店主が戻った時には、自力消火できないほどに火の勢いが強くなっていた。

 住宅用火災警報器は、煙や熱を感知した機器だけの警報音が鳴る単独型、1台が検知すれば他の部屋の機器にも無線で信号を送るなどして鳴らす連動型があり、基本的に1戸単位で設置されている。

 警報音は壁や扉を隔てると聞こえにくい。飲食店は営業時間外には不在になりやすく、こんろなどを扱うため、隣接する住宅と共同で連動型の警報器を設置する方式を検討する。

 ただ共同設置は参加者全員の同意が必要。無線が届く範囲には制約があり、誤報時の対応を決めておく必要があるといった課題も指摘されている。

 北九州市では過去に木造建物が密集する市場で同様のモデル事業を行ったが、市消防局によると、火災が起きず効果を十分に確認できなかった。消防庁は今回、試験的に警報を鳴らすなどして効果や課題を確かめる。

 事業の実施場所は、近く全国の消防本部から候補を募る。消防庁の担当者は「効果が確認できれば全国への普及も検討したい」と話している。

 住宅用火災警報器 火災による熱や煙を感知してブザーや音声で発生を知らせる。2011年6月までに、すべての住宅で設置が義務化された。原則として寝室と、寝室へ通じる階段に取り付ける必要があり、条例で台所などを対象にしている市町村もある。罰則規定はない。総務省消防庁によると、1カ所でも設置している世帯は81.2%(16年6月時点)。消防庁は、設置していない場合に比べ死者は3分の2、焼損床面積はほぼ半分に減少したと分析している。【共同】

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