■テロ対策必要性強調 野党、廃案へ徹底抗戦

 犯罪を計画段階で処罰する「共謀罪」の趣旨を盛り込んだ「テロ等準備罪」を新設する組織犯罪処罰法改正案は6日、衆院本会議で審議入りした。安倍晋三首相は「一般の人が処罰の対象にならないことをより明確にし、不安や懸念を払拭(ふっしょく)できた」と述べ、捜査機関による乱用の恐れを否定したが、野党は「誰もが犯罪集団の構成員となり得る」と追及した。今国会最大の対決法案を巡り、早期成立を目指す政府与党と廃案に追い込みたい野党の激しい論戦が始まった。

 首相は「東京五輪・パラリンピックの開催を控え、テロ対策に万全を期すことは開催国の責務。国内法整備のためには法案成立が不可欠だ」と法案の意義を強調。適用対象をテロリズム集団や暴力団などの組織的犯罪集団に限定しているとし「正当な活動をしている団体が対象になることはない」と説明した。

 民進党の逢坂誠二氏は「国民の恒常的な監視が前提の法律であり、誰もが犯罪集団の構成員となり得る共謀罪を創設すべきではない」と批判。首相は「捜査機関が国民の動静を監視するようになるという懸念は全く無用だ。実行準備行為が行われて初めて処罰の対象とし、内心を処罰するものではない」と反論した。

 逢坂氏のほか、自民党の土屋正忠、公明党の国重徹、共産党の藤野保史、日本維新の会の松浪健太各氏への答弁。

 金田勝年法相は質疑に先立つ趣旨説明で「近年における犯罪の国際化と組織化の状況に鑑み、必要な法整備を行う」と話した。

 改正案は適用対象を「組織的犯罪集団」と規定。構成員らが2人以上で犯罪を計画し、うち少なくとも1人が資金の手配や関係場所の下見などの「準備行為」をしたとき、計画に合意した全員が処罰される。

 共謀罪 日本が2000年に署名した国際組織犯罪防止条約は「重大犯罪の合意」などを犯罪化するよう求めた。これを根拠に政府は03~05年、共謀罪を新設する組織犯罪処罰法改正案を3度にわたって国会に提出。適用対象が曖昧で、600以上の犯罪を実行前に処罰できるようになるとして批判が強まり、いずれも廃案となった。政府は適用対象を「組織的犯罪集団」と定め、現場の下見など犯罪の「準備行為」を構成要件に加えた改正案を今国会に提出した。【共同】

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