参院選で改憲勢力が3分の2を超える議席を獲得したことを説明する土橋輝也教諭(中央)=13日、佐賀市の佐賀西高

■主権者教育、投票の先へ

 13日、佐賀西高(佐賀市)3年4組の教室で、電子黒板に参院選で各政党が獲得した議席が表示された。選挙後初めて開かれた政治・経済の授業。土橋輝也教諭(43)は、憲法改正を目指す勢力が衆参で3分の2を超える議席を確保したことを説明し呼び掛けた。「改憲論議が新たな局面に入ったことを知ってほしい」

 クラスでは選挙権を得た生徒全員が投票したが、土橋教諭は「投票に行けばそれでいいわけじゃない。本当はこれからが大事だ」と訴えた。自分が選んだ候補者や政党がどんな政策を実現し、与党なら適切な政権運営を、野党ならしっかりとした対案を出しているか。その検証を、次の投票につなげるよう求めた。

 参院選では18歳選挙権が大きな注目を集めた。県内の10代の投票率(抽出調査)は4割を超え、3割台で低迷している国政選挙での20代の投票率を上回った。高校での主権者教育の成果と評価する声も上がるが、武雄高(武雄市)の近藤真二教諭(53)は「投票に行かせることが主権者教育の目的になってはいけない」と指摘する。

 政治に関心を持ち、主体的に考えた結果が投票に表れる。本来、主権者を育てる教育には時間がかかるものだ。参院選で多く見られた選管や弁護士による講演は、突然の衆院解散では対応するのが難しい。そうした「イベント」に頼らず、普段の授業をいかに充実させていくか。近藤教諭は「参院選を区切りにしてはいけない」と強調する。

 政治的中立性への配慮も大きなテーマ。ある公民科教師は、生徒から「何を基準に投票すればいいんですか」と聞かれ、答えられずに「親としっかり話し合って」と伝えるのが精いっぱいだった。参院選が終わった今も、中立性の線引きはあいまいなままだ。

 教師の抑制的な発言が持つ意味を、生徒は敏感に感じ取る。本当に伝えるべきことは何かを、教師一人一人が見極めるべきだと考え始めた。「かなり手前に引いた線を、次の選挙では引き直したい」と公民科教師。参院選はスタートラインだと考えている。

=18歳選挙権さが=

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