がんの発生メカニズムの研究などに取り組む研究員=佐賀県医療センター好生館ライフサイエンス研究所の実験室

■開設2年、「大学院化」構想も

 佐賀県医療センター好生館(佐賀市嘉瀬町)の研究部門「好生館ライフサイエンス研究所」が6月で開設から2年を迎えた。がん研究など3部門の研究員を先行して配置し、活動を本格化させている。2年内をめどに全6部門のスタッフをそろえ、将来は学位も取得できる「大学院化」の構想も温めている。

 研究所は好生館の敷地内にあり、2014年6月に設立された。大学病院ではない地域の総合病院に研究施設が併設されるケースは全国的に珍しく、九州では初めてだった。大学などと同様に臨床部門と研究部門が連携を取り、国の科学研究費も得て臨床試験や開発的研究に臨んでいる。

 6部門で構成され、現在は3部門に計5人の研究員が配置されている。3人が所属する「疾患遺伝子研究部」は、がんなどの原因遺伝子や病状悪化のメカニズムを研究し、有効な治療薬の開発を目指している。

 「疾患ゲノムセンター」(研究員1人)は遺伝子検査による体質診断で、がんや認知症になるリスクを調べ、予防や効果的な治療方法を探っている。「医療情報企画戦略部」(1人)は医療現場のICT環境の研究開発などを担っている。

 研究は実績を積み重ねている段階だ。疾患遺伝子研究部の泉秀樹部長は、がん幹細胞の分裂過程で悪性度を下げる「非対称分裂」を人工的に誘導する技術を追究している。5年をめどに技術を確立した後、「死亡率や転移、再発の確率を下げる新薬の開発につなげたい」と話している。

 医療情報企画戦略部は地元レストランと共同で、入院患者の昼食メニューを提案し、生活の質を向上させる手だてを講じてきた。

 課題は早期に全6部門の運用を開始することで、前隆男所長は「研究員の選任を進め、最終的には20~30人規模の研究所にしたい」と話している。大学院構想では佐賀大学など地元教育機関と提携し、研究者を受け入れる計画で、「単位や博士号などが取得できる体制を整え、研究者の育成に寄与したい」と意欲を示している。

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