毒性が強い高病原性鳥インフルエンザウイルス(H5亜型)が、杵島郡江北町の養鶏場で見つかった。県内での発生は2年ぶり、2例目で、飼育されていた鶏約6万9千羽と、卵68万3千個を処分する事態になった。

 全国的に鳥インフルエンザの感染が広がり、警戒を強めているさなかだっただけに、養鶏農家の動揺と落胆も大きいようだ。今回の江北町は今シーズン、全国10例目で、九州では宮崎県川南町、熊本県南関町、宮崎県木城町に続いて4例目となる。

 感染を封じ込めるには、初動の段階でいかに素早く対応するかがポイントになる。

 県は自衛隊に派遣を要請し、発生農場から半径3キロ圏を鶏や卵の移動制限区域に、3~10キロ圏を搬出制限区域に指定した。さらなる広がりを防ぐために、幹線道路や農協支所など16カ所には消毒ポイントも設けている。

 4日の午前10時に養鶏農家から通報を受けて、緊急立ち入り検査や簡易検査を経て、午後3時には対策本部を立ち上げている。行政や農協、自衛隊など各機関が連携して当たっており、2年前の教訓が生かされているようだ。

 鳥インフルエンザは感染ルートが特定されていないが、シベリアなどからの渡り鳥がウイルスを持ち込むと考えられている。きちんと管理されている家きんに限れば、今回が10例目の感染だが、これが野鳥となると昨年11月以降、すでに20道府県で200例以上が確認されている。つまり、野鳥の間でウイルスが広がっている状況がうかがえる。

 海を越えて大陸から持ち込まれるとなれば、国内だけでなく、海外にも目配りしておく必要があるだろう。韓国は例年、日本よりも早い時期に鳥インフルエンザが流行する傾向があるが、今シーズンは鶏やアヒル、ウズラに感染が広がり、すでに3200万羽以上を処分したという。これは深刻な状況だ。

 九州の場合は、アジアに近い立地だけに、一層の警戒が欠かせない。例えば、鹿児島県出水市には国内最大のツルの越冬地があるが、ここでもナベヅルやカモ類などから、すでに30例のウイルスが検出されている。

 自由に飛び交う野鳥がウイルスを持ち込むと想定すると、対策が取りにくい。防鳥網に穴がないか、入り込める隙間がないかをもう一度点検したり、人や車両が出入りする際には消毒を徹底するなど、地道な防疫を続けるしかない。

 気がかりなのは、風評被害が出ないかである。国内では、鶏肉や卵を食べた人が感染した例はない。そもそも鳥から人への感染が非常にまれな上、日本では移動制限が徹底しており、感染した鶏肉や卵が市場に流通することはないからだ。

 消費者が情報不足から過剰反応しないよう、きめ細かな情報発信を求めたい。

 鳥インフルエンザの感染は、養鶏農家や行政だけの問題ではない。私たち市民としても、野鳥の死骸を見つけた場合は、触らずに近くの保健所に速やかに知らせるなど協力はできるだろう。子どもたちへの周知も急ぐべきだ。正しく情報を共有し、事態の早い収束へ力を合わせたい。(古賀史生)

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