好きな自治体に寄付をすると住民税や所得税が軽くなる「ふるさと納税」で、寄付した人に自治体が贈る返礼品を巡り、全国の自治体の72%が上限額設定などによる是正が必要と考えていることが5日、共同通信の調査で分かった。自治体同士の競争が激化したことで、返礼品代が寄付額の43%を占め、独自の政策に使えるお金はさほど増えない実態が判明。消耗戦に疑問を持つ自治体が多くなっていることが浮き彫りになった。

 ふるさと納税は地域活性化に役立っているなどとして、評価する自治体は82%だった。ただ、寄付は一部に偏り、自治体の間で差が開いている。

 回答した自治体が見積もった2016年度の寄付受け入れ額の合計は前年度比28%増の2000億円程度だが、返礼品購入費を引いた額は17%増の約1140億円にとどまる。購入費が増え、寄付額に占める比率が前年度の37%から43%に上昇するためだ。ほかにも送料、仲介するポータルサイト運営業者への支払いなどがかさみ、自治体が実際に使える額はさらに少なくなる。

 上位20自治体の受け入れ額を合計すると、寄付総額の4分の1を上回り、人気の特産品を贈る自治体などに寄付が集中する傾向が鮮明だ。「競争が過熱し、新たな格差を生んでいるのではないか」(長崎県新上五島町)との指摘もあった。

 こうした現状を反映し、返礼品競争の是正が「必要だ」と回答した自治体が33%、「どちらかといえば必要」が39%。これらの自治体に具体的な是正策を聞くと、63%が寄付額に対する返礼品価格の上限を国が定めるよう求めるなど、国主導の見直しに期待が大きい。

 ふるさと納税を「評価する」自治体は44%、「どちらかといえば評価する」は38%。「貴重な財源となると同時に、全国に特産品をPRできる」(北海道南幌町)「頑張っている小さな自治体が報われる」(長野県豊丘村)などの声があった。

 調査は16年11月~17年1月に全国1788自治体(都道府県、市町村、東京23区)を対象に実施し、96・1%の1719自治体が回答した。16年4~9月の寄付総額は前年同期の1・6倍となったが、16年度(通年)の見込み額は慎重に見積もられているもようだ。【共同】

 =ズーム=

■ふるさと納税 自治体に寄付すると、年収などで決まる上限額までなら、自己負担2000円を除く金額が住民税や所得税から差し引かれる制度。多くの自治体が地場産業の振興や寄付集めのため、地域の特産物など返礼品を充実させており、ふるさとへの恩返しという制度の趣旨に反するとの批判がある。高所得者ほど2000円の自己負担で寄付できる金額が多くなり、節税に利用されやすい問題点も指摘されている。総務省は、換金しやすい商品券や家電を贈らないよう自治体に要請した。

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