有田観光協会が作製した「有田八十八ヶ所巡りマップ」(部分)

「有田八十八ヶ所」霊場の一つとなっている北川観音堂

 ふるさと二里町作井手地区の南の丘、佐世保へ向かう道と、伊万里や平戸に至る古道の分岐に建つ「有田八十八ケ所、七十六番札所」北川(きたご)観音堂。お遍路さんが訪れていたのは、私の小学生のころまでした。

 有田焼創業400年の一環として作製された「有田八十八ケ所巡りマップ」を眺めていると、春先、白衣に鈴を鳴らしながら詣でるお遍路さんの姿を思い出しました。西有田で育った義母も、札所を「お巡り」し、甘く煮た小豆を手のひらに受けるお接待を受けたりしたそうです。

 弘法大師の四国霊場信仰の広がりにより、明治大正期にかけて日本各地に「八十八ケ所」の霊場が設定されました。福岡県の篠栗が有名ですが、それ以外にも各地に有名無名、多くの霊場があるのです。

 有田町と伊万里市二里町の有田川水系に点在する「有田八十八ケ所」もその一つで、四国霊場の砂を八十八の寺院仏堂や社に納めたものでした。

 周囲の世帯により、北川観音堂では今も「観音さんのまつり」が守られています。四季折々の花もまた遍路を迎えたころと変わらず、静かに咲いています。

(地域リポーター・中村智子=伊万里市)

このエントリーをはてなブックマークに追加