10年ぶりに大量着底が確認された有明海の二枚貝「ウミタケ」(県水産課提供)

有明海の二枚貝「ウミタケ」(県水産課提供)

■県「海底造成の成果」今季禁漁し経過観察

 有明海に生息する二枚貝「ウミタケ」が約10年ぶりに増加に転じていることが、佐賀県の調査で分かった。県は海底をしゅんせつしたり盛り土したり造成した事業の成果が出たとみている。ただ、想定より回復が早いため定着するかどうか経過観察が必要として県有明海漁協に要請し、今季の禁漁を決めた。

 ウミタケは10年ほど前から急激に個体数を減らし、近年の漁獲量はゼロに近い状態だった。県はウミタケの産卵時期直前となる昨年8月、ノリ漁場と重なる3カ所で事業を実施した。船を通すために海底を掘った箇所にウミタケが必ず着底するというノリ漁業者の体験談を参考に、満潮時、海底に水脈のある「澪筋(みおすじ)」にさまざまな角度で溝を掘ったり、盛り土をした。

 今年3月下旬、小城市芦刈町の県有明水産振興センターと地元漁協が協力し、潜水による目視調査を実施した。3カ所ともウミタケと思われる水管が海底から出ていたという。潜水調査した漁業者は「白い花が咲くように海底にはびっしりとウミタケが張り付いていた」と報告した。

 5月上旬には潜水モニタリングで、水脈に沿った溝の斜面に1平方メートル当たり平均20個のウミタケを確認した。研究捕獲したウミタケの貝部分は5センチ程度に成長していた。盛り土の部分は水脈に関係なく均一に着底していたという。

 ただ、ウミタケの伝統的な漁法「ねじ棒」による捕獲は、一カ所につき4、5個にとどまった。さらに研究データの不足から、今季の漁を見送ることを県と漁協関係者で決めた。密漁される可能性があるため事業の具体的な場所は公表していない。

 担当する県水産課基盤整備係は「早い成果には戸惑いがある」とした上で「アゲマキやアサリ同様、ウミタケも振興事業により、有明海再生に向け一歩を踏み出せた」として調査研究を続けていくという。

 ウミタケの大量着底に、地元の漁協関係者の期待は大きい。「ノリ漁は遅くても3月には終わる。ウミタケの捕獲は5月から夏にかけてピークで、(漁師の)周年操業が可能になる」とする一方、「諌早湾干拓事業の開門問題とは別に、県や国は有明海再生に向けた事業に本腰を入れてほしい」と複雑な表情を浮かべた。

 ■ウミタケ 有明海の干潟から水深約10メートルほどの砂泥質域に分布する二枚貝の仲間。殻は長さ10センチ、厚さ5センチに及び、水管は約30センチも伸びる。沿岸地域の郷土料理として「一夜干しあぶり」が有名。また粕(かす)漬けの材料にも利用される。現在、食材としてのウミタケはほとんどが中国産か韓国産。

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