もともと世の中というものは、何も隠したりしていない。真実は隠されているのではなく、全て私たちの周りに現れている-。「遍界不曾蔵(へんかいかつてかくさず)」という禅の言葉である。「遍界」とは世の中や宇宙、「不曾蔵」は隠していないという意味だ◆私たちの身の回りには、さまざまなことが展開しているが、本当のことを知りたかったら、よく見る、よく感じることだという教えである。見えるか見えないかは、その人次第なわけだが、この人はどうだったのだろう。福島原発事故の自主避難者が故郷に戻れないことを「本人の責任」と言い放った今村雅弘復興相だ◆大臣の目は曇っていたのか、それとも心を閉ざしていたのか。福島と、そこから避難せざるを得なかった人たちの実情を理解しているとは思えない発言だ。本人は撤回をしたが、傷ついた被災者の心には残る◆復興相こそ、先頭に立ち被災地の真の姿を知り、関係者の心情をくみ取るのがまずもっての仕事だろうに。何より心配なのは、福島のことが切り捨てられるのではとの懸念が広がることである◆問題発言は記者会見の場で出た。繰り返し同じ質問をされて激高した形だが、記者が聞くということは、国民が持つ疑問を問うているのである。「地元出身の大臣が…」と、恥ずかしい思いをした佐賀県民は筆者だけではなかっただろう。(章)

このエントリーをはてなブックマークに追加