■泡立ち=病気ではない

 少し前になりますが、何かのテレビで「尿が泡立ったら何かの病気のサイン。医療機関受診を」と言っていたようで、しばらく尿検査希望の患者さんが増えたことがありました。病的な蛋白(たんぱく)尿や尿糖の増加などで、尿の粘性が上昇すると泡が発生しやすくなるといれますが、実際には正常の尿でも泡が出ることはあります。

 尿はそのほとんどが水分ですが、老廃物としての尿素やミネラル、イオン、ホルモンなどを含みますので、泡立つこともあるのです。尿検査などで明らかな異常がない場合はあまり心配することはないでしょう。また、「血尿が出た!」と受診されたものの、病院の尿検査では全く血液が検出されず、日にちを変えて尿検査をしてもなかなか異常がつかまらないときは、原因を追究するために血尿が出たときの写真を撮ってきてもらったりします。

 医療従事者は血尿というとワインやケチャップのような尿、あるいは古い血尿になるとどす黒い色になったりもしますので、そのような尿を想像するのですが、持参された写真を見ますと、実は血尿と思っていたのが濃縮尿だったりします。水分を極端に控えた後の尿や朝一番の尿は特に老廃物の割合が多くなり、尿が濃くなり色も麦茶のようになったりします。

 ときには便器の水アカを血尿と見ておられたことがわかったりもしました。他にも、普段水分をよくとるためにほとんど色がつかないようなうすい色の尿を見慣れている方は、濃縮尿そのものを異常と考えて受診されることもあります。

 昔から尿は健康のバロメーターなどともいわれてきました。尿の性状を日常的に観察することは良い習慣ですし、定期的な健康診断で尿検査を受け異常がないか確認することも大切です。と同時に、どのような尿に注意すべきかを普段から知っておくこともまた大切なことです。少なくとも明らかな肉眼的血尿を放置したりなさいませんよう。(なかおたかこクリニック院長 中尾孝子)

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