県有明海漁協南川副支所の幹部を前にあいさつする池田英雄副知事=7月31日、佐賀市川副町の同支所

■国に不信感、県や議会にも

 オスプレイより有明海再生が先-。佐賀空港への配備計画を巡り、佐賀県が県有明海漁協の全15支所を対象に行った意見聴取が終わった。国の公共事業に対する不信感は根深く、県や県議会の対応にも懐疑的な声が上がり、受け入れの議論は「門前払い」の格好。漁協側の反対姿勢が鮮明になる中、県が取りまとめて国に伝える要望は事実上、受け入れの前提条件になるだけに、計画の行方は正念場を迎える。

 意見聴取を終えた翌1日、県幹部は早速、漁協本所を訪問した。有明海再生や漁業被害の救済組織づくりなど計5回の聴取で出た意見を確認し、3月に漁協側から出された要望と合わせ、国に伝える内容を取りまとめる考えを伝えた。

 ▽「勇み足」 

 「全支所で賛成はなかったと捉えていい」。徳永重昭組合長は7月31日、漁協側の意見を「反対」と総括した。県に反対を直接伝えた南川副支所の地権者の思いを踏まえ、県や県議会に対しては「漁業者を孤立させるなというが、勇み足が多い」と苦言を呈した。

 県が国防に協力する立場を明確化したことや県議会の受け入れ決議は、漁業者を追い込んだ。県は「漁業者側に立ち、国に要望を伝える」と強調するが、漁業者には計画受け入れの条件を引き出す場に映り、「オスプレイのために意見を聞くのはおかしい」と警戒。県が「最終判断はしていない」と、火消しに追われる場面もあった。

 意見聴取では、諫早湾干拓事業を巡る国の対応に批判が相次いだ。20年前の諫早湾閉め切り以降、潮流の変化や赤潮発生など異変が続き、積年の不満が配備計画に待ったをかける形だ。

 一方で「諫干問題に国が誠意を見せれば気持ちは変わるかもしれない」など打開の糸口を示唆する意見も出た。早津江川のしゅんせつなど一部具体的な提案もあり、「われわれも意見は言うが、聞く耳は持っている」と話す漁業者もいた。

 意見聴取では、国の誠意や不信感払拭(ふっしょく)といった抽象的な声が大半で、具体的な要望が少ない中でどう取りまとめるのかが焦点になる。有明海再生には、これまで国や県が多額の公費を投入しても成果が十分でないとの指摘があり、漁業者が納得できる施策を盛り込めるのかは不透明だ。

 ▽妙案描けず 

 要望に応える立場になる防衛省と農林水産省も、妙案が描けているわけではない。防衛省は関連法令に基づいて対応しているが、同省幹部は「いずれも防衛施設の影響が前提で、以前から存在している(有明海再生の)問題への対応は難しい」。農水省職員は「何を求められているのかが見えない」と困惑する。

 県幹部は「漁業者の心を揺り動かす何かを、どう求めていくか。思いを文章にする作業は難しい」と吐露する。反対意見が表面化する中で、池田英雄副知事は「全員が賛成とはいかないと思うが、議論の余地はある」と述べ、思いをくみ取る意見集約に全力を尽くす姿勢を示した。

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