■取得に地域差 病院、患者実習協力難しく

 心肺停止患者への人工呼吸法「気管挿管」ができる佐賀県内の認定救急救命士は60人となっている。徐々に増えてきたが、認定取得には地域差があり、取得者が20人以上の消防本部がある一方、数人にとどまる本部もある。病院や患者から実習への協力を得る難しさが大きく影響している。

 「気管挿管」は2004年、医師以外に救急救命士も認定を受ければ可能になった。県内5カ所の消防本部のうち、杵藤地区消防本部は救急救命士51人のうち22人が気管挿管認定を取得したほか、新たに2人が認定に必要な病院実習を終えた。同本部では毎年2人ずつ実習を受け、認定取得者を着実に増やしている。

 伊万里・有田消防本部も30人のうち、既に16人が認定済み。ほかの地域の救急救命士に占める認定取得者は、鳥栖・三養基地区消防本部が42人中13人、佐賀広域消防局が120人中7人、唐津市消防本部が41人中2人となっている。

 認定を受けるには、消防学校や養成所などでの講習後、認定医療機関で全身麻酔手術に参加し、麻酔科医の指導の下、患者への挿管を30症例以上経験する必要がある。県の協議会による認定医療機関は県内外に7カ所。ただ、実習の体制を整えた上、患者から同意を得るのは病院にとって簡単ではない。県によると、近年実習の実績がなく、事実上受け入れを中断している医療機関もあるという。

 ある消防本部は30症例のために年単位で救急救命士を病院に通わせなければならなかったといい、「現場の救急救命士を確保するため、実習を受けさせるのをためらってしまう」と厳しい現状を説明する。

 認定医療機関の麻酔科医師は「実習対象の患者は重症度が低い人などに限られる上、研修医らの機会を奪ってまで救急救命士に配分するかも悩ましい」とした上で、「認定取得者の増加で患者の社会復帰率が上がったかなどを国に総括してほしい。患者の協力を得るにも、そうしたエビデンス(証拠)に基づき国民の理解を進める必要があるのでは」と話す。

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