■県、JA経営強化へ支援本腰

 農業経営の基盤を強化するため国が推奨している集落営農組織の法人化で、佐賀県内は2月1日現在、598組織中48組織の8・0%と、全国平均の27・9%を大きく下回っていることが農水省の調べで分かった。6月末現在でも、県に設立を届けた法人は59組織にとどまる。県やJAは「今は集落営農が機能していても、今後離農者がさらに増えれば対処できなくなることが増えてくる」と法人化の必要性を訴え、支援に本腰を入れている。

 集落営農組織の法人化は、農村の高齢化や担い手不足が深刻となる中、耕作代行や農地集積を進めるとともに、加工・販売など事業の多角化で経営体質を強化して農地を維持するのが狙い。法人格を持つことで農機や加工機など、将来の投資を見据えた内部留保も可能となる。雇用保険や労災保険に加入し、若い担い手を継続的に雇用することも比較的容易となる。

▼義務的色彩

 また、15年度産からは「経営所得安定対策」の加入要件の一つとして、集落営農の法人化に関しては「(各市町村が)確実に行われると判断するもの」という要件が加わった。補助金や交付金の受け皿になるための必要条件となっており、法人化は努力目標から義務的な色彩が強くなっている。

 こうした状況の中、法人化が進まない理由として、県内の生産現場からは「従来の集落営農組織が機能している状況で、法人化に取り組む積極的な理由が見いだせない」との声も挙がる。経理や財務の実務負担があるほか、土地利用権を法人に設定する関係上、「先祖伝来の土地を手放すことになるのでは」という錯覚もあるという。

▼目標7割

 農水省調査では、全国の393組織が本年度中に法人化する意向を示し、設立総会が相次いでいるが、ある法人の代表は「補助金の約束を果たす必要に迫られてのこと」と話し、今後の登記など具体的な日程は“空白”のままという。

 こうした現状を踏まえて県は、国庫負担で必要経費を一律40万円支給する事業に上乗せする形で、農機や事務用品の購入、税理士への相談、野菜など新規作物の試作費用についても、半額(上限70万円)を補助する制度を設けた。農地を交換して集団化に取り組む場合はさらに上乗せがあり、20年度までに全体の7割程度の組織が法人化することを目標にしている。

 法人化支援を担当するJA佐賀中央会農業対策部の杉原浩樹部長は「今後10年で離農者が一気に増えることも予想される。法人化以外にも道はあるが、農地を守る手だての一つとして組織内で議論をすることは大事」と強調する。

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