カニ、ミカン、カキ街道、そして「月の引力が見える町」というすてきなキャッチフレーズで知られる太良町。多良岳山系と有明海に包まれた豊かな自然と、そこから生まれる特産品の数々が自慢の町だ。そんな町にはもう一つ、自慢できるものがある。「子育て支援」だ。充実した支援制度をもっとアピールし、定住や移住の促進につなげたい。

 子育て支援の充実度は佐賀県トップだろう。まず、生まれると誕生祝いが10万円、チャイルドシート購入には最大1万4千円を助成する。小学校入学時と中学校卒業時に祝い金としてそれぞれ3万円が贈られる。小中学生の給食費は無料で9年間の総額は約44万円。中学校卒業まで概算で61万円の支援がある。

 加えて高校生までの医療費全額助成がある。2015年度の助成実績は2200万円。対象者数で割ると1万5千円超になる。生まれてから高校卒業まで、平均すると30万円近い助成を受けている計算になる。ほかに第二子以降の保育料全額助成、20万円の結婚祝い金などの制度も備えている。

 「医療費や給食費が全額助成され、何かと物入りな誕生や入学、卒業の節目に祝い金がある」-こんな支援策は人口の多い自治体では経費が膨大になるため実施は難しい。だから、定住や移住促進の大きな武器になる。

 移住の受け皿として住宅が必要だ。町では昨年から空き家バンク制度が正式にスタート。これまでに4件の契約が成立したが、空き家登録は9軒にとどまっている。「問い合わせも結構あるが、貸し出す物件が少ない」(町企画商工課)というもったいない状況だ。

 ただ、空き家は多い。4年前の調査だが、危険家屋を除いても100軒超あった。空き家バンクへの登録を勧めても「荷物の片付けがやっかい」「帰省する時に使う」などの理由でほとんど断られるという。受け皿を増やすために、荷物整理のための貸し倉庫整備や利用料補助、帰省時の宿泊費補助など、心を動かす制度はどうだろう。ひと工夫したい。

 受け皿づくりと同時に「子育て支援充実」のPRも進めたい。「高校卒業まで◯万円」「給食費、医療費 全額助成」など分かりやすいキャッチコピーを考え、町外に広く伝わるような仕掛けを考えたい。

 発達障害や不登校の生徒を受け入れている太良高校も大きな存在だ。小中学生の6・5%が発達障害の可能性があるといわれ、関心も高まっている。太良高の存在をアピールし、町内の小中学校も連携を深めて、「発達障害への先進対応」と打ち出せないだろうか。教育に関する取り組みは子育て支援と両輪にもなる。

 12年前、町民は住民投票によって鹿島市と合併しないことを選択した。小さな町だからこそ小回りの効く施策を実行できる。豊かな自然を守りながら、魅力あふれる町をさらに磨きたい。

=わがまち未来形 太良編=

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