岩島正昭太良町長

岩島正昭太良町長

澤野善文編集局長=太良町役場

■高齢者も元気で生き生きと

 有明海に面し、多良岳山系の自然に恵まれた太良町は、農漁業を中心に発展してきた。第1次産業を取り巻く環境が厳しさを増し、少子高齢化や人口減少が進む中、地域の将来像をどう描いているのか。岩島正昭町長に聞いた。

 -「子育て支援のまち」を目標に掲げている。どんな思いがあるのか。

 岩島 就任当時(2007年ごろ)は、第1次産業の所得も割と高かったが、年々厳しくなり、後継者不足も目立っている。何か対策を打たなければと思ったのがきっかけだ。子ども1人を大学まで出すのに必要な学費は1千万~2千万円。子育ては2人までという感じだが、環境がよければもっと育ててもらえるのではと思い、子どもの医療費無料化や、第2子・第3子の保育料無料化などに取り組んでいる。町外からの移住を促すため、PFI方式による住居も計画中だ。

 -若者の定住は進んでいるのか。

 岩島 町外から3組が移住してくれた。地元での結婚も徐々に増え、子どもの誕生祝い金では第7子というケースもあった。田舎暮らしに憧れる子育て世代が祖父母がいる地域に住む「孫ターン」も奨励したい。

 -高齢者福祉の取り組みを教えてほしい。

 岩島 65歳以上の高齢化率は34・9%で、県内では大町町に次いで高い。在宅介護が増え、要介護4以上の人がいる世帯には月4万円を支給している。町総合福祉保健センター「しおさい館」は1日200円でカラオケや運動、風呂などが楽しめる。元気で生き生きと暮らしてほしいという思いからだ。

 -基幹の第1次産業はどうすべきか。

 岩島 ミカン農家には「直販もしなさい」と言っており、若い人はネット販売もやっている。自分のミカンの価値がいくらなのか、分かるからだ。道の駅は顧客がつき、年間5億円以上を売り上げている。

 漁業に関しては育てることが大事で、アワビ養殖やカニの蓄養に取り組んでいる。林業では多良岳材の評判がいいが、やはり採算は難しい。林業も6次化が大切で、来年か再来年には製材所を造り、多良岳材のブランドをPRしたい。若い人には東京の会社に勤めるのもいいが、地元に帰ってくれば社長。やりようではもうかると言っている。

 -観光振興はどうか。

 岩島 二枚貝のアゲマキが復活すれば、夏場はカニと一緒に提供できる。観光には広域連携が必要。宿泊は嬉野、歴史文化は鹿島、食は太良ということでやっていきたい。隣の諫早市とも協定を結んでおり、多良海道のウオーキングコースをつくるなどしてお互いに交流人口を増やしたい。

 -ふるさと納税が好調と聞く。

 岩島 返礼品を始めた昨年度は2万955件、約2億2400万円の寄付を受けた。返礼率(寄付額に対する返礼品の金額)は5割で、ミカンジュースやハムが好評を得ている。3割くらいが手元に残り、高齢者福祉や教育に使い助かっている。産品のPRになるし、生産者の収入にもなる。

 -「平成の大合併」から10年。太良町は合併を選ばなかった。

 岩島 通達では合併しないと交付金が年5%ずつ削減されるということだったが、今のところは横ばいできている。合併した市町に聞くと、「しないほうがよかった」との声もある。町内の隅々まで目が届き、私は結論として合併しないでよかったと考えている。

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