自民党憲法改正推進本部の全体会合であいさつする保岡興治本部長=1日午後、東京・永田町の党本部

 自民党は1日、憲法改正推進本部の全体会合を党本部で開き、大学などの高等教育を含む教育無償化について議論した。教育を受ける権利などを定めた憲法26条の改正に肯定的な意見が多かったものの、高等教育への無償化拡大を明記することには財源の観点から慎重論が相次いだ。この日で、9条への自衛隊明記など検討対象とした4項目を巡る党内論議は一巡した。秋に想定される臨時国会に党改憲案を示す方針を堅持し、条文の具体化作業を加速させる。

 保岡興治本部長は会合で9条改正と教育無償化、緊急事態条項、参院選「合区」解消の4項目に関する論点を整理する意向を表明。その上で29日に全体会合を開き、再び9条について議論したいとの考えを示した。安倍晋三首相(自民党総裁)は2020年の改正憲法施行を引き続き目指すが、内閣支持率の急落で求心力に陰りが出ており、先行きは不透明感を増している。

 会合では同推進本部が検討している、憲法26条に3項を新設して国に教育環境の整備促進を課す案を巡って「その方向性が改憲案に含まれるべきだ」などの賛成意見が多数を占めた。26条1項に、経済的理由で教育の機会を奪われないとの趣旨を追加することには賛否両論があった。

 出席者からは、大学などの高等教育の無償化を実現する規定に関し「一般の法律で対応すべきではないか。極めて慎重な検討が必要だ」「大学に行かずに働いている人もおり、不公平感が出る」などの意見が出た。文部科学省によると、国公私立大などの授業料無償化には年間3兆円以上が必要とされる。

 また、日本維新の会が教育無償化を柱とした改憲案をまとめたことに触れ「自民党がそれに乗ることは、維新を巻き込んで改憲の実績をつくるのが狙いだ。あざとい考えだ」と苦言を呈する向きもあった。

 同推進本部の幹部らは、自衛隊を「必要最小限度の実力組織」などとする9条改正案のたたき台を踏まえて議論。文民統制(シビリアンコントロール)の規定や、自衛隊活動への国会関与の文言について詰めの作業を進めるとみられる。【共同】

 ■ズーム 教育無償化 幼稚園や保育所の保育料、小中学校、高校、大学の授業料を実質的に無料にすること。憲法26条は、義務教育を無償にすると定めている。安倍晋三首相(自民党総裁)は5月のビデオメッセージで、憲法改正の具体的な検討項目として、9条への自衛隊明記とともに「(大学などの)高等教育を全ての国民に真に開かれたものにしなければならない」と例示した。

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