仲良く給食を食べる子どもたち。町は子育て支援の一つとして、昨年度から小中学生の給食費を無料にしている=太良町の大浦小

野球の練習中、水分を補給する少年球児たち。保護者からは「太良町は子育てがしやすい」との声も聞かれる=太良町の多良小

■【子育て支援】給食無料、医療費助成も

 休日の多良小運動場。夏空の下、元気に白球を追う子どもの姿を見守る母親たちの姿があった。チームに3人の息子がいる峰下敦子さん(40)は「給食費の無料化は助かる。グラブやスパイクなど野球道具も買ってあげやすいから」。町外の保育園に勤める針長愛さん(36)は「お母さんたちから『太良町っていいね』とうらやましがられています」と教えてくれた。

 少子高齢化と人口減少が進む太良町。近年は若い世代が安心して出産や子育てができる「子育て支援のまち」を掲げ、給食費無料化や、高校生までの医療費助成など手厚い支援に取り組んでいる。若い世代の町外流出を食い止め、町外から移住者を呼び込む手だてとなるか注目される。

 町の人口減少は深刻な課題だ。5年に1度の国勢調査で、2010年の人口は9842人だったが、15年は8782人まで減り、減少率は10・77%で県内ワースト。有識者らでつくる日本創成会議が2年前に発表した試算では、若年女性人口(20~39歳)が40年時点で現在の半分以下に減る「消滅可能性都市」と指摘された。高齢化率(6月30日現在)は34・9%となっている。

 こうした傾向に歯止めをかけたいと、町は昨年4月、町内全ての小中学生の給食費を県内で初めて無料にした。子どもが生まれた夫婦に10~20万円を贈る誕生祝い金や、小学校入学時と中学校卒業時に3万円を支給する制度も設けている。合計すると0歳から中学卒業までに1人当たり約61万円を受け取る計算になる。

 このほか、結婚したカップルに現金20万円を支給する結婚祝い金や、医療費助成の高校生までの拡大、第2子以降の保育料無料化も。移住者向けの住宅建設も計画が進んでいる。

 3歳と1歳の子どもを夫と育てている森田響子さん(27)一家はこの7月、響子さんのふるさと太良町に鹿島市から移り住んだ。保育園の環境が一番の理由だったが、町の手厚い支援も背中を押したという。子どもの同級生は2小学校で約50人と少ないが、「先生の目も行き届きやすいのかな」と前向きに捉える。

 独自の助成金は、人口が多い自治体ほど負担が大きく踏み切りにくい傾向にある。町民福祉課の担当者は「人口が少ない町だからこそきめ細かな対策ができる」と胸を張る。「結婚を機に実家を出て町外に移る予定だった人が、支援の内容を知って町内にとどまったケースもある」と一定の手応えを口にする。

 ただ、肯定的な意見ばかりではない。年間約50億円の一般会計予算のうち、町の自主財源は20%台で、交付税頼みの現状がある。町内の60代女性は「手厚く支援できるのは財源が続く間だけ。もらえて当たり前という感覚になって、将来突然打ち切られても困るのでは」と心配する。自立に向けた財源が求められる。

 厳しい中での好材料は、町外から寄付を受ける「ふるさと納税」だ。昨年9月から寄付者に特産品を送り始めたところ、昨年度は約2億2400万円の寄付を集めた。半分が生産者の売り上げで、町は経費を除いた約1億円を、本年度の結婚祝い金や誕生祝い金などの予算に充てている。

 子育て支援が功を奏し、有識者の試算と違った未来を切り開けるのか。町の挑戦はまだ始まったばかりだ。

=移動編集局 太良町=

太良町、子育て支援で移住促進を

岩島正昭町長に聞く

まちの仕掛け人 太良町森林組合組合長の村井さん

旧跡名所 大魚神社の海中鳥居

太良町 ひとことPR

データランド 太良町

このエントリーをはてなブックマークに追加