東京都内で開かれた式典に出席した安倍首相=1日午後

 安倍内閣の支持率急落を受け、衆院解散・総選挙の時期を巡る論議が政権内で活発化してきた。先月31日に安倍晋三首相と会談した公明党の山口那津男代表は同日夜のBS番組などで、来年秋との見方に対し「常在戦場」を強調した。ただ早期解散に踏み切れば、憲法改正の国会発議に必要な「3分の2以上の議席」を失いかねない。今月3日の内閣改造の成否が、首相の判断と今後の行方を左右することになりそうだ。【共同】

 「常在戦場から一歩踏み込み、勝てる態勢をつくることが重要だ」。1日、自民党の二階俊博幹事長は記者会見で、山口氏の発言に呼応して党内にハッパを掛けた。

■相場観

 山口氏は1月の共同通信インタビューでも「常在戦場」に言及した。だが、今回は内閣支持率下落に触れ「予断を許さない。政治動向に影響を与える可能性がある。単純な相場観に依存してはならない」と訴えた。

 現状は、学校法人「加計(かけ)学園」問題で政権に厳しい視線が降り注ぐ。東京都議選の歴史的惨敗、南スーダン国連平和維持活動(PKO)日報隠蔽(いんぺい)問題を受けた稲田朋美防衛相辞任と続き、山口氏も「支持率が下がる中では考えにくい」として、解散は今後の情勢次第との見解を示した。

■計 算

 では、なぜ早期解散論が浮上しているのか。山口氏も指摘したように、元々の相場観は来年秋。衆院議員の任期満了を同12月に控え、9月の自民党総裁選で首相が連続3選を果たし、衆院選に打って出るケースだ。首相が主導する改憲論議も絡む。目標通り、今秋の臨時国会中に自民党改憲案を提出できれば、来年の通常国会中に国会発議、秋に国民投票とのシナリオも見えてくる。

 前提となるのは「安倍1強」を支える高い内閣支持率だ。しかし今、支持率は第2次内閣発足以降で最低に落ち込んでいる。そこで、首相が内閣改造で政権浮揚を図ることができれば「国民の信任を再び得るため、衆院選に持ち込もうとするのではないか」(自民党中堅)というわけだ。

■リスク

 取り沙汰される「都民ファーストの会」の国政進出に準備時間を与えないとの計算も働く。

 だが、改造で支持率が上がるかは未知数。民進党が今年9月の代表選でイメージを刷新する可能性もある。加えて首相が早期解散を決断すれば、改憲のスケジュールに影響する。虎の子の「衆院3分の2議席」を割り込むリスクは否定できず、2020年の改正憲法施行は見通せなくなる。

 民進党の一部を取り込むという「大胆な手」(自民党若手)もあるが、ハードルは高い。

 これまでも性急な改憲論議にブレーキをかけてきた山口氏は、首相の改憲への姿勢について「少し慎重になり始めているようだ」と述べた。

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