激しい紛争が続く中東の国。女の子が1人、がれきの中に、ぽつんと立つニュース映像が流れる。絵本『サニーちゃん、シリアへ行く』は、ウサギのサニーちゃんが気球に乗って、その女の子を探しにシリアへ行く物語だ◆見つけた女の子の名はヌーラちゃん。お父さんは空爆で大けがをし、お母さんは小さな弟や妹の世話に追われていた。学校にも爆弾が落ち、ヌーラちゃんは友達2人とも離ればなれに。1人は難民としてトルコに逃れるが、地雷の爆発で右足をなくす。もう1人はドイツへ。過酷な現実を見たサニーちゃんは立ち尽くす…◆米国がシリアへのミサイル攻撃に踏み切った。シリアのアサド政権が化学兵器を使ったとしての電撃作戦だが、疑惑のままの軍事行動だった。泥沼化したイラク戦争の悪夢が思い起こされてならない◆この政権の後ろ盾であるロシアは怒りの導火線に火がついたろうし、日本の共同歩調にも懸念がつきまとう。各国の出方で混乱の度合いが大きく変わる。日常生活の破壊が招く難民問題も深刻だ◆絵本のヌーラちゃんは命を脅かされ、友達は足を失い国を追われた。サニーちゃんは一部始終を見て考える。「ヌーラちゃんは今、学校に行けないけれど、未来まではなくしていない」。無辜(むこ)の命と未来を奪うのは大人だ。しかし、守れるのも大人である。(章)

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