■リーマン前の高水準に迫る 

 日銀の大規模な金融緩和政策の影響で、佐賀県内の新規住宅着工戸数が増えている。相続税対策に加え、金融機関の貸出金利低下により需要が堅調に推移しているためで、2016年度の新設戸数は前年度比7・2%増の5542戸。2年連続で前年実績を上回り、過去10年ではリーマンショック前の2007年度に次ぐ高水準となった。

 伸び率が最も大きかったのが、注文住宅などの持ち家で、前年度比10・3%増の2321戸。住宅ローン金利が低下して子育て世代を中心に購入を後押ししたとみられる。年度当初は17年4月に予定されていた消費税率10%への引き上げを見据えた駆け込み需要もあり、数字を押し上げた。

 全体の半数を占めるアパートなどの貸家は、4・1%増の2716戸。県宅地建物取引業協会などによると、15年1月の相続税増税を受け、節税対策で敷地に賃貸住宅を建てる人が増えているという。

 賃貸住宅は投資資金の回収期間が長く、長期の借入金が必要だが、銀行の貸出金利が低下して借り入れコストが下がっていることが投資を後押している。金融機関にとっても一定の賃料収入が見込めることなどから融資のリスクが比較的低く、不動産に資金が集まりやすくなっているという。

 分譲住宅は、伊万里地区などで開発が進んだため伸長し、12・7%増の495戸。社宅などの給与住宅は7戸減の10戸だった。

 地区別でみると、県内12市郡で前年実績を上回った。大型商業施設のある兵庫地区などで動きが活発な佐賀市や福岡への通勤圏として人気の鳥栖市のほか、九州新幹線長崎ルートが開通予定の武雄市も伸びた。

 全国の新設住宅着工戸数は5・8%増の97万4137戸。こちらも2年連続で増加し、消費税増税前の駆け込み需要があった13年度以来の高水準だった。

 今後の動向について、県宅建業協会の伊藤醇六会長は「県内各地で住宅造成が進められ、先送りされた消費増税に向けた駆け込み需要もこれから本格化する」と話し、16年度を上回る水準で推移するとみている。

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