特別養子縁組として養父母に育てられた体験を語る大久保文さん=佐賀市文化会館

 特別養子縁組として養父母の家庭で育った福岡県の大久保文(ふみ)さんと、里親制度を活用して子どもを預かった夫婦らが5日、佐賀市で開かれた里親推進フォーラムで体験を語った。実親の存在を知った時の思いや養育の喜び、葛藤を振り返り、虐待や経済的な理由などで実親と暮らすことが困難な子どもたちを養育する社会的養護の現状や課題を問い掛けた。

 生後1カ月から養父母の下で育った大久保さんは25歳の時、実親の存在を告げられた。「ショックだったけど、だまされた訳じゃない。ずっと言えなかったんだと理解している」と養親の気持ちを推し量った。

 戸籍上、養親の実子と同じ扱いになる特別養子縁組で、「マスコミは悲劇的に描いたりするけど、実際は養子だと思い返すこともないほど将来や友だちのことで頭がいっぱい」とも。同じ境遇の人たちがイメージで語られることへの違和感を明かした。

 10代の男女3人を一定期間預かった養育里親の女性は「実子に恵まれない中で親にさせてもらったという喜びが大きかった」と振り返る一方、子どもが実親に会いたいとせがみ、反発した時の戸惑いを語った。8カ月と3歳の子どもを養育した夫婦は、子どもが病気になった時、名字が違うために診療手続きに手間取った経験を紹介、里親制度のさらなる理解を求めた。

 フォーラムは、里親制度への理解を深めてもらおうと、県と社会福祉法人洗心和合会、支援相談員らでつくる里親推進フォーラム実行委員会が主催し、320人が耳を傾けた。タレントのユージさんも講演し、幼少期に父親と離婚し、自分を一人で育ててきた母親への愛情などを語った。

(谷口大輔)

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