理化学研究所などのチームは6日、他人の人工多能性幹細胞(iPS細胞)から作った網膜の細胞を、重い目の病気の患者に移植する臨床研究を始めた。5人を目標に対象患者の募集も開始した。

 他人のiPS細胞から作った網膜細胞を移植する臨床研究は世界初。1日に厚生労働省の専門部会が了承した。安全性を確認するとともに将来的には視力改善を目指す。

 神戸市で記者会見した理研多細胞システム形成研究センター(神戸市)の高橋政代プロジェクトリーダーは「将来的な治療がどういう形になるか決める重要なステップ」と話した。

 1例目の手術は今年前半が目標。一方で高橋リーダーは、移植の実施や患者の経過はすぐには公表せず、科学的に検証した結果が出てから明らかにしたいと述べた。

 対象は視力低下や視野のゆがみが起きる「滲出(しんしゅつ)型加齢黄斑変性」の患者で、理研などは2014年、患者本人から作ったiPS細胞を使った移植を初めて実施している。

 今回は、京大が備蓄する、他人に移植しても拒絶反応が少ないとされる特殊な免疫の型の細胞から作ったiPS細胞を使う。本人のiPS細胞を使う場合は移植まで11カ月かかっていたが、最短1カ月に短縮でき、約1億円の費用も5分の1以下になると見込まれる。

 患者の選定条件は参加同意時に50歳以上85歳以下で、他の網膜の病気がないことなど。【共同】

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