水は命の源である。こう暑いと体内の水分が汗となり噴き出してくる。7日まで「水の週間」。水の需要が最も増える8月に、水の大切さへの関心を高めてもらおうと制定された◆世界を見渡しても、蛇口をひねって安全な水がふんだんに出るという国は、そう多くはない。それもこれも、この列島がたっぷりの雨量に恵まれているからである◆<菖蒲(しょうぶ)の花は雨に打たれて/音楽室から来るオルガンの/音を聞いてはゐませんでした/しとしとと雨はあとからあとから降って/花も葉も畑の土ももう諦めきつてゐます>。さまざまに雨をうたった詩人、中原中也の「少女と雨」の一節である。苦悩の多かった人生が、雨というどこか物憂い題材を選ばせたのだろうか◆それにしても、最近の雨に「しとしと」といった風情はない。降るとなったらドカ雨だ。九州北部豪雨の後も、各地をゲリラ豪雨が襲った。日本近海の海水温が高く、空気中に大量に水蒸気が放出される。雲が巨大化する分、豪雨となり、台風も生まれやすい◆甚大な被害を出した九州北部豪雨は発生からまもなく1カ月。なお行方の分からない人がいる。福岡県朝倉市の断水もまだ完全には復旧しておらず、この猛暑を水なしで乗り切る不便さを思う。こうなると、うっとうしいと感じがちだった、しとしと雨が恋しくもある。(章)

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