■主権者教育、教師と温度差

 今夏、70年ぶりに選挙権年齢が引き下げられ、初めて18、19歳の10代が有権者となった。2月の高校生座談会からスタート、アンケートや連載などを展開した企画「はじめの1票」は、ハイライトの参院選を終え一区切りとなる。“主役”の10代や教育現場への取材を通じ、「18歳選挙権」の成果と課題が見えてきた。

 6月上旬、18歳選挙権をテーマにした唐津西高(唐津市)の授業で講師役を務めた。その時の3年生の真剣なまなざしは、「10代は政治への関心が薄い」という先入観を打ち消すだけの力を持っていた。

 同時に、ある高校生から掛けられた「突然、政治に興味を持てと言われても困る」という言葉を思い出した。無関心に見えるとしたら、そうした状況をつくり上げた大人にも責任があるのではないか。そんな痛烈な批判を含んでいた。

 参院選での県内の18、19歳の投票率(抽出調査)は40・59%。この数字を、個人的には前向きに捉えている。多くの若者が初めて当事者として選挙について考え、政治参加の意義も意識しながら1票を投じた。このことは今後の選挙につながるはずだ。

 一方で、18歳選挙権の盛り上がりと、主権者教育の中心となる高校の公民科教師の思いとの間に温度差も感じ続けてきた。

 「主権者教育は普段着の実践でいい」「18歳選挙権だからといって、特別な取り組みが必要なのか」-。公民科教師の多くが、選管の出前授業など「イベント型」の活動が中心になることへの疑問を口にした。

 総務省などが発行した副教材は、民主主義の担い手に求められる力として、公共的な事柄に自ら参画しようとする意欲や態度などを挙げている。これは公民科の目標と重なる。目標が達成されていれば、特別な主権者教育は必要ないことになる。ただ「公民科が目指す教育はできていますか」との問いに自信を持ってうなずく教師はいなかった。

 学校生活など身近な問題を足掛かりに、社会的課題にまで関心を深め、投票につなげる。こうした取り組みに特別なイベントは必要ないが、全校的な協力が欠かせない。だが参院選に向けた主権者教育で、教科や業務分担を超えた校内連携が進んだとは言い難い。

 政治的中立性への配慮を巡る議論が教師を萎縮させるなど、さまざまな課題が浮かび上がったが、主権者教育を一歩前に進めたことは間違いない。「祭りの後」のような空気が漂う選挙後も、この流れを継続できるか。ある教師が語った「参院選を区切りにしてはいけない」という決意の成否が、主権者教育の未来を占う。報道も一過性に終わらず、10代の今を追い続けていきたい。

=18歳選挙権さが=

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