有明海の情景などを歌う合唱団。集会は宝の海を取り戻そうと開門実現を訴えた=諫早市中央公民館

 国営諫早湾干拓事業(長崎県)の潮受け堤防が1997年に閉め切られてから14日で20年を迎えるのに合わせ、有明海の再生を訴える市民らが8日、長崎県諫早市で集会を開き、集まった約250人は「宝の海を取り戻そう」と開門実現に向け、決意を新たにした。

 集会では、豊かだった有明海をしのぶ歌を合唱し、閉め切り後の環境異変を追った記録映画「苦渋の海」を鑑賞した。

 ムツゴロウやシオマネキといった干潟の生物をはじめ、タイラギが採れなくなって窮状を訴える漁業者、消えつつある伝統漁法などが映し出された。監督を務めた映像作家の岩永勝敏さん(77)は「日本中の干潟を歩いたが、諫早湾は生物層が厚く最高だった。有明海を駄目にしたのは人間の愚かさだ」と指摘した。

 諫早湾干拓事業を巡っては、営農者らが開門差し止めを求めた訴訟の判決が17日に長崎地裁で言い渡される。集会で開門派の漁業者側弁護団の堀良一弁護士が「開門義務を負う国が納得できる説明をしていない」と訴訟の現状を報告し、「宝の海に戻すためには開門が第一歩」と強調した。

 実行委員長の大島弘三さん(73)は「10年、20年前と比べ、問題に対する市民の関心が下火になっていると思っていたが、今日は珍しく満員になって熱気があった」と述べ、「政治も行政も裁判も全て限界に来ている。市民で解決する道を探したい」と訴えた。

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