2012年9月の船外活動で、ロボットアームに乗って宇宙空間を移動する星出彰彦さん(NASA提供・共同)

■開発難航、船外活動に支障

 【ワシントン共同=浅見英一】国際宇宙ステーションの船外活動で飛行士の着用する宇宙服が老朽化し、近い将来足りなくなる恐れがあるとの報告書を米航空宇宙局(NASA)の監察官室がまとめたことが5日分かった。新型宇宙服の技術開発が滞っているのが理由。

 NASAの宇宙服は、約40年前に作られた18着のうち11着が使い続けられている。7着は事故で失われたり破損したりした。残った11着も設計寿命の15年を大幅に超え、老朽化が激しい。船外活動中にヘルメット内部に水がたまり、飛行士が窒息の危険を感じて急きょステーションに戻る例も相次いだ。

 報告書によると、現在ステーションに使える状態で配備されている宇宙服は4着。新品を作る技術が継承されておらず、一から開発するしかないのが現状だ。

 報告書は、NASAが火星探査計画を含めた三つのプロジェクトで別々に新型宇宙服の開発を進め、過去8年間で2億ドル(約220億円)を投じたが、実用化にほど遠いと批判。「ステーションの運用が終わる2024年まで、全ての船外活動を賄うのは難しい」として、宇宙服開発の新プロジェクトを立ち上げるよう勧告した。

 宇宙服は、宇宙空間の過酷な環境から飛行士を守る生命維持装置を備えている。宇宙服を着用する船外活動は、ステーションでは科学実験のほか、設備の部品交換や修理で必要になり、日本人飛行士も米国の宇宙服を着る。星出彰彦さんはステーションの長期滞在中の船外活動で、土井隆雄さんと野口聡一さんはスペースシャトルからの船外活動で使った。

 ステーションにはロシアの宇宙服もあるが、船外に出る準備作業の都合で、米国棟からは出動できない。米国棟での作業が必要になった場合は、ロシア棟から出て宇宙空間を長距離移動しなければならなくなる。

 NASAの船外活動の歴史は古く、1965年にジェミニ4号の宇宙船で初めて実施。現在の宇宙服は81年からのスペースシャトル計画で導入された。手袋の暖房器具などの改良はあったが、最初の物を使い続けている。

 米国の宇宙服 米国の宇宙服は「船外活動ユニット」と呼ばれ、1970年代に開発された。ランドセルのように背中に取り付けられた生命維持装置には酸素ボンベや水タンク、二酸化炭素を取り除く機器などが含まれる。酸素は最長7時間供給。太陽光が当たって温度が上がるのを防ぐため、内側に着る下着に冷却用の水を流すチューブが張り巡らされている。重さは120キロあるが、宇宙では重さを感じない。現存する11着は大半が検査や修理中で、国際宇宙ステーションにあるのは4着。【共同】

このエントリーをはてなブックマークに追加