札幌戦はMF鎌田大地(中央)がゴールを決め、ホーム戦5連勝を飾った=5月27日、鳥栖市のベストアメニティスタジアム

 サッカー・J1サガン鳥栖から目が離せない。アウェー開催だった4日の大宮戦に引き分け、ここまでの通算成績は5勝4分け5敗(勝ち点19)で18チーム中12位。数字だけ見ると下位に低迷している感じだが、今季リーグは大混戦で連勝すれば一気に上位浮上できる位置に踏みとどまっている。巻き返しを信じて応援を強めたい。

 「サポーターのみなさんに勝たせてもらった」-。5月27日の札幌戦でホーム戦5連勝を飾った後の司令塔・鎌田大地選手の言葉だ。大観衆の後押しを受け、大型連休最後の横浜M戦、札幌戦とゴールを決め、いずれも完封勝ち。心からの感謝の思いだろう。

 J1参戦6年目の今季、鳥栖の出足はよくなかった。過去5年間、開幕戦は負けなしだったが、柏に敗れて初の黒星発進。続く川崎戦に引き分け、3戦目の広島戦で初勝利を挙げたが、その後、10位~13位の間を上下している。

 なぜ浮上できないのか。注目すべきはホーム戦とアウェー戦の戦績のあまりに大きな違いである。

 ここまで鳥栖市・ベストアメニティスタジアムでのホーム戦は5勝1敗でリーグ最高勝率を維持。一方、アウェー戦は4分け4敗でいまだに勝ちがない。波に乗れそうで乗れない状況にヤキモキしているサポーターも多いだろう。

 ホーム戦の有利さはサッカーだけでなくスポーツでよく言われることだが、会場の一体感が選手たちの極限の力を引き出していることは間違いない。チーム担当記者によると、鎌田選手に限らず、全選手が「ホームでは絶対に負けられない」と口をそろえるという。ホーム戦では試合に向けた歯車がかみ合っており、アウェー戦でまず1勝できれば、一気に上昇気流に乗れるような予感がある。

 チームが今後浮上できると信じる根拠はほかにもある。一つは戦術の浸透である。イタリア出身のフィッカデンティ監督が就任して2年目。前所属のFC東京をリーグ4位まで引き上げた指揮官の堅守速攻のスタイルを選手はよく理解している。エースの豊田陽平選手頼みだった以前と違い、多彩な攻撃で得点が生まれている。

 振り返れば昇格3年目、尹晶煥(ユンジョンファン)監督時代に首位に立った時期があったが、あの時も意思統一が図られていた。暑い夏は運動量に自信を持つ鳥栖の季節である。

 いつも思うが、J2からの昇格組の多くが1年で降格する中、人口7万2千人の鳥栖市をホームタウンとする鳥栖のJ1参戦6年目突入は、全国のJクラブの模範と言っていい。リーグ戦はワールドカップアジア最終予選のため中断中で、鳥栖の次戦は仙台を迎える17日。ホーム戦の連勝を伸ばして自信を深めれば、おのずとアウェー戦勝利も呼び込めるはずだ。ベアスタに応援に行こう。(杉原孝幸)

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