衆院予算委で答弁する金田法相=7日午後

 政府は「共謀罪」の構成要件を厳格化した「テロ等準備罪」を新設する組織犯罪処罰法改正案を巡って迷走した。法務省は6日に「改正案は国会提出後に議論すべきだ」とする文書を発表。金田勝年法相は7日の記者会見で、自身の指示で作成したと認めた上で、撤回し謝罪した。野党は文書には金田氏が衆院予算委員会での議論を回避する思惑があるとして「質問封じ」と批判し、法相辞任を要求。文部科学省の組織的天下り問題とともに政権への攻勢を強めた。

 衆院予算委で、安倍晋三首相は「法相が(文書を)撤回、謝罪した。国会審議では建設的な議論ができるように互いに努めることが求められる」と釈明。金田氏も「不適切な文書なので撤回し、おわび申し上げる」と述べた。金田氏は改正案に関する野党質問の答弁に窮する場面が目立っていた。

 政府は今国会での改正案提出、成立を目指しているが、野党は提出方針の見直しも迫っており、政権の国会運営に影響する可能性がある。防衛省が廃棄したと説明していた南スーダン国連平和維持活動(PKO)部隊の日報が保管されていた問題もただす構えだ。

 民進党の山井和則国対委員長は記者会見で「言論を封じるかのような状態が続けば、法相辞任を求めざるを得ない」と明言。共産党の穀田恵二国対委員長も「国民を愚弄(ぐろう)している。閣僚の資格が問われる問題だ。辞任要求は当然だ」と述べた。

 菅義偉官房長官は会見で、金田氏に誠実に対応するよう6日夜に電話で注意したと説明。「引き続き誠実に職務に当たっていただけると考えている」と辞任論を否定した。金田氏も引責辞任を否定した。公明党の山口那津男代表は会見で「撤回し謝罪するくらいなら、変な文書は出さない方がいい。強く反省を求めたい」と苦言を呈した。

 予算委で民進党の玉木雄一郎氏は「われわれの議論を封じ込める紙だ」と非難。共産党の宮本岳志氏は「国会審議への介入だ」と指摘した。

 文書は6日に報道機関向けに発表された。改正案に関し「国会に提出した後、所管の法務委員会において、しっかり議論を重ねていくべきだ」と求めた。【共同】

このエントリーをはてなブックマークに追加