「サイバー補導」とは知らずに警察車両に乗り込む少女=2月、福岡市

 インターネット上で援助交際を持ち掛ける少女に身分を隠した警察官が接触する「サイバー補導」が全国で実施されている。昨年1年間に補導された18歳未満は前年の約2割増の533人。夏休みシーズンになり警察は「特に周囲の見守りが大切」と訴える。福岡県警の現場を通して親が知らない子どもの実態を取材した。

 「昼ごろ え できるひと!」。今年に入り県警少年課の捜査員がインターネットの掲示板でこんな書き込みを見つけた。「え」は援助交際を指す隠語だ。

 捜査員がスマートフォンで「何時ぐらい?」とメッセージを送ると、まもなく返事が届き「交渉」が始まる。少女が提示した条件は「1、5。ごむあり」。1万5千円で、性行為の際にはコンドームを装着してほしい、という意味だ。18歳未満への買春は児童買春・ポルノ禁止法違反で罰せられる。年齢を尋ねると「18!」。交渉の成立だ。

 少女が待ち合わせ場所に指定したのは、福岡市内の住宅街の一角。捜査員が車の運転席で待つと、茶髪にハイヒール姿の少女が近づいた。目が合い助手席に乗り込む。

 「本当に18(歳)?」と捜査員が尋ねると「ごめん、17(歳)」。この段階でも捜査員は身分を明かさない。5分ほど雑談を続け、やりとりしていた本人との感触を得た後、警察手帳を示す。表情を硬くする少女。「おかしいと思ったんだよね…」とつぶやく。

 サイバー補導は静岡県警が2009年に先行実施。13年4月から福岡県警など10都道府県警が加わり、同10月から全国に広がった。福岡県警は「実態は深刻」と今年5月から、活動する警察署を約4倍の15署に増やし、非行少年の立ち直りを支援する県警の少年サポートセンターも加わった。

 補導後は親を警察署に呼び経緯を説明するが、多くは予想外の話にショックを受けるという。捜査関係者によると、今回補導された少女は中学生で援助交際を始め、今年に入ってから5、6人と関係を持った。母子家庭で育ち、仕事が忙しい母親は娘の行動に気付かなかった。

 福岡県警では保護者の了解を得た上で少年サポートセンターが継続的に見守る態勢を取り、職員らが自宅を訪れたり、電話で連絡したりする。

 ただそれでも援助交際を繰り返す例はあり「夏休みは誘惑が多い」とする福岡県教育委員会は6月下旬、ネット上での性非行に走らないよう指導を求める通知を全県立高校に出した。

 少年課の担当者は家庭環境も重要とし「ネットで何をしているか目が届かない親が多い。日頃からコミュニケーションを取ることが大事だ」と指摘する。【共同】

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