優勝が決まり、感極まる生徒たち=佐賀市のみどりの森県営球場

◆大量リードで「悪夢」封じる

 昨年、同じ決勝の舞台で味わった悔しさを歓喜に変えた。25日の全国高校野球選手権佐賀大会決勝で、唐津商が5年ぶりの頂点に立った。打線が爆発し、大量16得点。スタンドも唐津くんちの「エンヤ」のリズムに乗って大きなうねりを生み出し、第1シードの佐賀商を一気にのみ込んだ。

 3塁側応援席には、唐津市からバス5台で生徒約250人が集結した。野球部員や、そろいの青いTシャツを着た保護者と試合前から熱い声援を送った。

 スタンドは序盤から沸いた。二回表、失策で先制後、主将の井上樹希也選手の2点適時二塁打でリードを広げた。井上選手は昨年、大会前の練習試合で頭部に死球を受け、直前にベンチ外になった。母の幸さん(38)は「本人は『今年こそ』という気持ちを胸にやってきた。主将としてプレーで引っ張ると言っていた通りのことができた」。

 四回に2失点。ただ、3点差を追いつかれて甲子園を逃した昨年の悪夢がちらつく間もなく、直後の攻撃で一挙6点を奪った。

 大量リードにも気を緩めず、谷口優成投手はいつも通り、打たせて取る投球を続けた。昨年はベンチにも入れなかったが、細身の体を鍛え、背番号1を背負う大黒柱に成長した。母の有華さん(44)は「まさか決勝で投げられるようになるなんて。周りのみんなに助けられて今の投球ができている」と目を細めた。

 そして迎えた歓喜の瞬間。今年で定年を迎える大坪郁弘校長(60)は「昨年の悔しさを切り替え、監督が熱心に指導していた。大会を通じて力を付けたチーム一丸の勝利」と喜んだ。

 昨年のエース・谷口拓海さん(18)は試合中、「こいつら強い」と思わずうなった。現役のころ「能力は高いのに、まとまりがない」という印象を持っていたが、「一人一人がチームのために戦ったからこそ打線がつながった」。自身らがなし得なかった夢を果たした後輩の姿を見届け、「ベストの試合」とたたえた。

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