想定される主な争点

 衆院選では、臨時国会冒頭の衆院解散に踏み切る安倍晋三首相(自民党総裁)の政治姿勢そのものが問われる。北朝鮮情勢が緊迫化する中で生じる「政治空白」のリスクや、森友・加計問題の「疑惑隠し」との批判にどう答えるか。アベノミクス推進や消費税収の使途変更、憲法改正に加え、「希望の党」の代表に就いた小池百合子東京都知事が打ち出した「原発ゼロ」も争点だ。小池氏は景気回復なき消費税増税に慎重姿勢を示した。(共同)

 【首相の政治姿勢】

 首相は6月の通常国会閉会時の記者会見で、森友・加計問題に関し「丁寧な説明」を約束した。しかし、野党の臨時国会召集要求には3カ月以上応じず、今月28日に開いても審議は行わない。首相は8月3日に内閣改造し「仕事人内閣」と命名したが、わずか2カ月弱での解散となる。

 この時期の解散について、与党は「解散は首相の専権事項だ」として問題ないとの立場。対する野党は、森友問題に関する会計検査院の調査報告や、加計学園の獣医学部新設の認可判断が10月中に出る見込みであることを踏まえ「追及回避のためで、解散権の乱用だ」と非難している。

 【経済・社会保障】

 首相は雇用環境の改善やデフレ脱却の取り組みを強調。現役世代への配分を増やす「全世代型」の社会保障制度も打ち出す。2019年10月の消費税率10%への引き上げ時には、税収の使途を国の借金返済から子育て支援に変更する方針。財政悪化は避けられず、基礎的財政収支を20年度に黒字化する財政健全化目標は先送り必至だ。

 民進党の前原誠司代表は、増収分を教育無償化の財源などに振り向けると先に提唱していた。掲げた理念「All for All(みんながみんなのために)」も首相の主張と重なるため「争点つぶしを狙った盗用だ」と批判している。

 【憲法改正】

 衆院選の結果、改憲の国会発議に必要な衆院3分の2以上を「改憲勢力」が再び占めれば、直近の民意を得たことになり発議は現実味を帯びる。自民党は首相が提唱した9条への自衛隊明記など4項目を公約に盛り込む方向で検討する。

 民進党は安倍政権下での拙速な改憲論議に反対。安全保障関連法が前提の9条改正も拒否し、改憲項目として「首相の解散権制約」を公約に盛り込んで対抗する。日本維新の会と希望の党は改憲を訴えていく。

 【外交・安保】

 首相は第2次安倍政権発足から約4年9カ月で積み上げた「首脳外交」の成果を強調。北朝鮮による核・ミサイル開発阻止に向け、国際社会と連携した圧力強化を前面に訴える。特定秘密保護法や安保法の成立で日米同盟は一層強固になったとして、衆院選で国民の信を得て北朝鮮の脅威に対峙していく構えだ。

 日本維新を含めた野党は、対北朝鮮非難では与党と足並みをそろえるが、解散による「政治空白」で危機管理や外交交渉など政府の対応がおろそかになると指摘する。民進、共産、自由、社民の4党は安保法廃止も主張していく方針だ。

 【原発】

 原発政策を巡っては、自民党が再稼働を推進する立場なのに対し、民進党は「2030年代ゼロ」を掲げる。小池都知事は25日の記者会見で、ゼロ達成に向けた工程表の作成を明言した。

 【その他】

 長時間労働を是正する働き方改革や東日本大震災からの復興、人口減少と地域経済活性化に対応する地方創生なども論点となる見通しだ。

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