再稼働に対する申し入れ書を副島良彦副知事(右)に手渡す峰達郎唐津市長=佐賀県庁

玄海原発視察後に記者団の取材に応じる塚部芳和伊万里市長=東松浦郡玄海町の玄海エネルギーパーク

 九州電力玄海原発(佐賀県玄海町)の再稼働の同意手続きが進められる中、玄海町に隣接する唐津市長は10日、安全性を一定評価し、再稼働を事実上容認した。一方、半径30キロ圏内の長崎県平戸市長は反対を表明、玄海原発を視察した伊万里市長も改めて反対した。

■唐津市容認「安全理解」

 九州電力玄海原発3、4号機(東松浦郡玄海町)について、唐津市の峰達郎市長は10日、「再稼働を進めることはやむを得ない」として、政府の方針を理解する考えを表明した。市議会の意見も踏まえ、佐賀県に対し、避難道路の整備や離島から避難する手段の確保、住民を受け入れる市町との連携確立などを申し入れた。

 峰市長は理解を示した理由を、「準立地自治体の市民を代表する立場として理解が求められている」と説明した。8日の山本公一原子力防災担当相との面談で、国が事故時に万全を期す姿勢を示したことや、自らが玄海原発を視察したことを挙げ「一定の安全性は理解した」と述べた。

 申入書では九電に対し、管理体制の強化や人為的ミスの防止対策の徹底を求め、国には早急な使用済み核燃料対策や再生可能エネルギー政策の推進を訴えた。その上で、市民に不安の声があることを踏まえ、山口知事に対し再稼働の「慎重な判断」を要望した。

 峰市長は佐賀県庁を訪れ、副島良彦副知事に申入書を手渡した。副島副知事は「安全に対して強い思いを持っておられるが、原発に向き合う姿勢は県も同じ」と応じた。

■伊万里市反対「不安拭えぬ」

 伊万里市の塚部芳和市長は10日、東松浦郡玄海町の九州電力玄海原発を視察し、事故対策などの説明を受けた後、「不安は拭えなかった」と再稼働反対の姿勢を改めて強調した。視察後に記者団の取材に答えた。

 塚部市長の視察は、玄海原発の運転停止後初めて。原子炉格納容器内に入り、安全対策や緊急時対応などの説明を受けた。九電は山元春義取締役や今村博信所長らが応対した。

 塚部市長は、過酷事故時に原子炉容器の圧力を逃がすフィルターベントの設置が新規制基準でも5年間猶予され、未設置のまま再稼働に踏み切ることなどを問題視し、「再稼働は立地自治体だけの問題ではない。国の原発に対する向き合い方が福島の事故後も変わっていない」と批判した。

 11日から再稼働を議論する臨時県議会については、「(私が)九電に指摘した問題を参考にしていただければ幸いだ」と述べつつ、県議会や山口祥義知事が下す判断は静観するという。

 避難道路の整備などの課題には、「再稼働すれば周辺住民はなお一層不安にさいなまれることになる。県や県議会とも連携して国に要望していく」と語った。

■平戸市も反対

 市の一部が30キロ圏に入る平戸市は、既に市議会が再稼働反対の意見書を可決している。黒田成彦市長は事故の際に避難する道路整備などが必要だとして「国が具体的にどう関わるかはっきりしていない状況では賛成とは言い難い」とのコメントを出した。

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